ウェディングレポート
舞台芸術の分野で、CGから小道具制作まで幅広く手掛ける新郎様。何事も自分の手で一から創りあげたいとのお考えで、まさに本物志向のクリエイター。新婦様は幼少期より音楽とダンスに親しみ、自ら作詞作曲を手がける表現者。音楽一家に育ち、計画的な思考と実行力も兼ね備えています。
最終的な決断は「ワクワクする直感」を信じるという点で共通しているおふたり。当初は結婚式に積極的ではなかったものの、「後悔したくない」という想いから、人生最高のイベントを創り上げることを決意。おふたりにとって結婚式は、感謝を伝える手段であり、自分たちの思考や世界観を表現する、最高の舞台となりました。
旧クルペ邸が醸し出す、どこか懐かしくレトロな雰囲気。それは、おふたりの感性にまさにぴったりの空間でした。「この会場なら、自分たちの思い描く結婚式が叶えられる。こだわりのドレスも、きっと映えるはず」そう直感されたおふたり。東京在住でありながら、関西にゆかりのあるゲストに、神戸ならではの建築の魅力も楽しんでほしい。その想いも、この場所を選んだ大きな理由となりました。
おふたりの心には、はじめから「自分たちらしい一日を創り上げたい」という明確なコンセプトがありました。打合せは、その芯となる想いに、プランナーがどのように彩りと深みを加えていくか、まさに共創のプロセスとして進行していきます。おふたりが大切にされたのは、すべての演出やアイテムに「意味」が宿っていること。細部にまで一切の妥協なくこだわり抜いたその姿勢が、唯一無二の世界観を持つ結婚式へとつながっていきました。
人前式は、「ゲストとともに創り上げる時間」おふたりが大切にされたその想いが、オリジナリティあふれるセレモニーへと昇華しました。
春の季節に合わせて取り入れた演出「ブーケストーリー」では、ゲストから新郎様へ、そして新郎様から新婦様へと、想いのリレーでブーケが完成。チューリップ一輪一輪に込められた気持ちが束ねられ、かけがえのない花束になりました。また、結婚証明書にはお名前にちなんで「石の証明書」を採用。ゲストお一人おひとりが思い思いの石を選び、そこにおふたりの似顔絵を描いていくというユニークなスタイル。世界にただ一つの証明書が完成する過程は、まさにゲスト全員が証人であり、クリエイターでした。あたたかな笑顔が満ちる、心に残るひとときとなりました。
テーマはお名前にちなみ、「Moon River」。
会場に大きな「月」のオブジェ。まるで物語の一場面のような入場シーンでは、場内が静かに暗転し、おふたりがその月をお持ちになり登場されました。その幻想的な光景に、ゲストからは思わずため息が。さらに、遠方にお住まいで当日参列できなかったフィンランドのご友人とは、オンライン中継でつながり、まるで月から会話しているかのような粋な演出も加わりました。月面着陸をテーマにしたウェディングケーキには、ライトセーバーでの入刀というユニークなひと幕も。遊び心と美意識が共存する、まさにおふたりらしい特別な時間が流れていました。
披露宴でゲストの心を最も動かしたのは、新婦様がご着用された、なんと新郎様自らが仕立てたウエディングドレスでした。洋裁の経験が一切なかった新郎様は、「想いをカタチにしたい」という一心で、ゼロからデザインを起こし、幾度も試作と修正を繰り返しながら、一着のドレスが完成。このことはパーティーの最中にサプライズで明かされ、制作過程のエピソードとともに、会場は驚きと感動に包まれました。さらに、会場装花は結婚式のテーマに合わせて、「川」を表現。ゲストテーブルには川の流れを思わせるしつらえが施され、そこには新婦様がお名前に合わせて幼少期から密かに集めてきた「石」がそっと添えられました。おふたりらしい想いが織り交ぜられた、唯一無二の空間が生まれました。
披露宴のクライマックスでは、音楽を愛する新郎様のお父様も参加された感動的なファミリーセッションが披露されました。お父様が奏でるアコーディオンのやさしい音色にのせて、新婦様が結婚式のテーマ曲でもある『Moon River』をしっとりと歌い上げます。その澄んだ歌声は会場全体を包み込み、穏やかであたたかな空気を生み出しました。家族の絆と音楽が溶け合い、心に深く刻まれる、忘れがたい感動の瞬間となりました。
改めてまして誠におめでとうございました。
おふたり様にてたくさんコンセプトやアレンジをお考えいただき、一緒に結婚式を創っていくことがとても楽しかったです。ゲストのみなさまからもおふたりらしいとの声も多くいただいたとのこと、私共も幸せでございます。
末永いお幸せを願っております。